世代間ギャップってあるなぁ~。
年上の人ってぜんぜん話が通じないんだよな。
わかります。僕もそんな経験があります。
でもそれを乗り越えると、また別の道が見つかるかもしれません。
現在私は30代前半です。
先日、おなじ宗教の組織内で若手と年輩の方で集まって会議をしました。
会議の内容は「いま、若手が考えていること」という内容でした。
組織内で若手と年輩の主だった人とのなかで、意見がぶつかることが続いたので、「ほんなら、いったん話してみようか」という感じで会議に至ったのです。
会議のなかで僕たち若手は
- 今のままじゃいけない
- 今の教会組織には指針となるものがない
- 目先の行事に振り回されて、大局を見失っているのではないか
などという意見を年輩の諸先生にぶつけました。
若手のプレゼンはなかなか順調に進み、組織内で初めてもたれたその若手&年輩会議は成果があったようにみえました。
しかし、です。
その後は「じゃあもしまた若手で言いたいことがあったら教えてね」と言われ、そこでおしまいです。
それ以来、その会議は開かれていません。
うそでしょ…。
こんなに必死に説明したのに!
正直、もうこの組織はダメかもしれない、と思いました。
そんなときに、「なぜ世代間ギャップが埋められないのか」を考える上で、オススメの本を教えてもらいました。
自分たちのなにか間違っていたのか、どうしたら良かったのかをふり返ることができる良書でした。
今回は、そんな一冊を紹介します。
ではいきまっしょい。
本の紹介
今回紹介するのは宇田川元一さんの『他者とはたらく 「わかりあえなさ」から始める組織論』です。
宇田川元一(うだがわ もとかず)
1977年東京生まれ。
経営学者。
埼玉大学 経済経営大学院 准教授
この本を一言でいうと
わかりあえない他者と、いかにしてわかりあうかを教えてくれる本
まきのりのグッと来たポイント3選
この本を読んでグッと来たポイントが3つあります。
それがこちら。
- そもそも乗り越えるべき課題には2つの種類ある
- 今どきの問題を解決するために大事なのは「対話」
- 自分の考えの枠組みをいったん置く
これだけではなんのこっちゃ分からないと思うので、1つずつ説明していきます。
そもそも乗り越えるべき課題には2つの種類ある
僕がこの本の冒頭で印象的だったのは「そもそも課題(問題)って2種類あるよね」ということです。
以下、引用です。
既存の方法で解決できる問題のことを「技術的問題」(technical problem)、既存の方法で一方的に解決ができない複雑で困難な問題のことを「適応課題」(adaptive challenge)と定義しました。
宇田川元一『他者とはたらく 「わかりあえなさ」から始める組織論』NewsPicks 4.5頁
2種類の課題
①技術的問題
例)のどが渇いたら水をのんだら解決する
つまり、知識や方法を知っていれば解決できる問題
②適応課題
例)他の人に協力を求めたのに協力してくれない
つまり、これといった解決策がみつからない問題
これは自分自身、なんとなく分かっていましたが、2つの問題が存在するという概念を認識できてスッキリしました。
以前読んだ、齋藤孝さんの本のなかで
「深さ」を手に入れるには、深くその物事を捉える力、「認識力」が必要です。
読書することで、著者の認識力も身につきます。
認識力に差があれば、同じ情報でも受け取るものが大きく変わります。
齋藤孝『読書する人だけがたどり着ける場所』SB読書 44頁
という言葉がありますが、まさに今回その経験をしました。
自分の中で認識できている世界が広がったと思います。
やはり読書はいいですね。
読書をすることで自分の「認識」できる世界が広がり、深い考えかたができるようになる。
で、僕が冒頭に紹介した「年輩の方との会議」は、どう考えても「適応課題」です。
それを知れただけでも、勉強になりました。
今どきの問題を解決するために大事なのは「対話」
2つ目は、1つ目の続きです。
先ほどの「適応課題」をもう少し深く掘りさげてある部分が、個人的にグッと来たので紹介します。
結論からいってしまうと、今どきの問題(適応課題)を解決するために大事なのは「対話」だということです。
ここから順を追って紹介します。
私たちが抱えている問題の多くは適応課題であると本書には書いてあります。
これだけ知識や技術があふれている世の中なので、技術的な課題はわりとなんとかなるのだとか。
ただ適応課題はそうはいかないと筆者はいいます。
そこで適応課題を解決するために「対話」を用いてはどうかと提案されます。
私たちの社会が抱えたままこじらせている問題の多くは、「適応課題」であるということです。
見えない問題、向き合うのが難しい問題、技術で一方的に解決ができない問題である「適応課題」をいかにして解くか――それが本書でお伝えする「対話」です。
(中略)
対話とは、一言で言うと「新しい関係性を構築すること」です。
宇田川元一『他者とはたらく 「わかりあえなさ」から始める組織論』NewsPicks 6.7頁
今、世のなかにある多くの問題は、簡単には解決できない「適応課題」がほとんど。
「適応課題」を解決するのには「対話」が重要となる。
対話か……。
確かに僕たちの会議に対話はなかったな。
ただ言いたいことを言っただけだった。
対話は自分たちの会議をふり返っても、全然できていませんでした。
とりあえず言いたいことを言っただけ。
「今は時代の流れが早い。今までのやり方は通用しない」
「トライ&エラーを繰り返して、新しい道を模索しましょう」
など、なんか正論っぽいことをいったとは思いますが、こういう主張の仕方ではダメだよといわれている気がしました。
では、どうしたらいいのでしょうか。
最後のグッと来たポイントで紹介します。
自分の考えの枠組みをいったん置く
3つ目は「自分の考えの枠組みをいったん置く」ということです。
先ほど、対話が大事ということを書きましたが、この本にはその具体的な対話の方法が書かれています。
そのへんは本書を読んでください。
具体例なども多く、分かりやすいですよ。
その中でもぼくがグッと来たのは、「自分の「考えの枠組み(※本書では「ナラティブ」という言葉で紹介されている)」をいったん置く」という箇所です。
以下、引用します。
一度自分の解釈の枠組みを保留してみて、相手がなぜそのように主張するかを考えてみると、相手には相手なりに一理はあるということが見えてきます。
「まあ、言いたいことはわかるな」という感じになるでしょう。
そうすると、相手が自分の主張を受け入れられるにはどうしたらよいか、という視点に立つことができるようになるでしょう。
この一連の過程こそが対話であり、適応課題に向き合うということなのです。
宇田川元一『他者とはたらく 「わかりあえなさ」から始める組織論』NewsPicks 27頁
自分が「こうだ!」と思っている解釈の枠組みを外すことが大切。
そうすることで、相手の言い分にも耳を傾けることができる。
これも自分たちの会議をふり返ったときに、できていなかったポイントだと反省しました。
諸先生方の言い分などは、微塵も聞く耳を持っていなかったわけですから。
「なんで伝わらんねん!」と思っていた自分が恥ずかしいです。
本を読んでみて、反省すると同時に今後教会組織のなかで話しあうときの対応が見えてきました。
最後の章ではそのあたりに触れて終わりたいと思います。
本を読み終えて、思ったこと
本を読みえて、自分をふり返ると、ただ自分の意見を押していただけで、相手の言い分を聞く努力をしていなかったと心底反省しました。
というか、60.70代になって若者に耳を傾けようと努力する年輩の先生方ってなかなかいないよね。
ありがとうございます。マジで。
という感謝も生まれてきました。
その上で、自分の解釈の枠組みをいったん横において、相手(年輩の先生方)のことを考えてみました。
そして思ったのは、年輩の先生方には変化に対する恐れが存在するということです。
これは本書の6頁にも載っていますが、まさにその通りだと。
年輩の方からすると「なんか若い奴が、ここから飛び降りろみたいな勢いで迫ってくるけど、とてもじゃないけど無理! え、それって安全なの!?」
みたいな風に思っていそうです。
もう少し、丁寧に対話をしていくことが、教会組織を良い方向に変えていくためには必要なのだと感じました。
まとめ
今回は宇田川元一さんの『他者とはたらく 「わかりあえなさ」から始める組織論』を解説しました。
まきのりのグッと来たポイント
〇そもそも乗り越えるべき課題には2つの種類ある
- 技術的問題とは
知識や方法を知っていれば解決できる問題
- 適応課題とは
これといった解決策がみつからない問題
〇今どきの問題を解決するために大事なのは「対話」
今、世のなかにある多くの問題は、簡単には解決できない「適応課題」がほとんど。
「適応課題」を解決するのには「対話」が重要となる。
〇自分の考えの枠組みをいったん置く
自分が「こうだ!」と思っている解釈の枠組みを外すことが大切。
そうすることで、相手の言い分にも耳を傾けることができる。
今回紹介した本です。
良かったら手に取ってみてください。
以上、【教会・お寺の若者必見】動かない組織を変えていくときに大切な考え方を紹介
という話でした。
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