『もしドラ』から教会マネジメントの第1歩を学ぼう【後編】

目次

前回のおさらい

※この記事は、『もしドラ』から教会マネジメントの第1歩を学ぼう【後編】です。

まだ【前編】を見ていない方はそちらからどうぞ。

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簡単に前回を振り返ろう。

まず今回紹介する『もしドラ』を紹介した。


さらにあわせて、『もしドラ』の師匠筋にあたる本。
ドラッカーの『マネジメント』も紹介した。


今回はこの2冊を頼りに話を進めている。

その後、3つのことをマネジメントに関する前提を紹介した。

  1. まずマネジメントとは何かを確認。
  2. なぜマネジメントが教会やお寺にも必要なのかを考えた。
  3. マネジメントの前提として「真摯さ」が超絶大事だということを確認

思い出していただけただろうか。

では今回の内容に入っていこう。

教会とは何か?

マネジメントの第1歩は「組織の定義づけ」から始まる。

そんなことを言われても難しいと思うので、野球部の場合はどういうことになるのか。本書を引用する。

「つまり野球部をマネジメントするためには、まず野球部とはどういう組織で、何をするべきか――を決めなければならないのよ」(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海 24,25頁)

 

ポイントとしては、野球部だったら「野球をするための組織」とか、そんな簡単な答えではない。ということだ。こちらは本家『マネジメント』から引用しよう。

自らの事業は何かを知ることほど、簡単でわかりきったことはないと思われるかもしれない。鉄鋼会社は鉄をつくり、(中略)銀行は金を貸す。

しかし実際には、「われわれの事業は何か」との問いは、ほとんどの場合、答えることが難しい問題である。分かりきった答えが正しいことはほとんどない。「われわれの事業は何か」を問うことこそ、トップマネジメントの責任である。(『【エッセンシャル版】マネジメント』P・F・ドラッカー 23頁)

 

まきのり
ということは「教会の事業はお祈りする」とかじゃないってことなのか?

これを教会に置き換えて「教会とはどういう組織で何をするべきか?」を考えてみると、どういうことになるのだろうか。

組織を定義をするときは顧客から考えよう

分かりきった答えじゃないということだが、じゃあどうやって考えたらいいのだろう。

ちなみにドラッカーは、企業の目的と使命を決める出発点は「顧客」にしかないと言っている。以下、引用する

顧客によって事業は定義される。(中略)

顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。しかたがって「われわれの事情は何か」との問いは、企業の外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。(『【エッセンシャル版】マネジメント』P・F・ドラッカー 23頁)

 

つまり答えは教会の中にあるのではなく、教会に関わる「顧客」にあるのだということだ。

まきのり
ほんで教会の顧客って誰よ?

話は少し脱線するが教会運営する人が「顧客」と聞くと、すんごい違和感がないだろうか。

僕は、ある。

むちゃくちゃある。

だから普段はそんな風に呼ばないし、思いもしない。

まきのり
まぁ営利組織に向けた本だからしょうがないんだけど。

教会は非営利組織だし、そこで関わる相手に対して商売のような気持で接していないことがほとんどだ。だから「顧客」という言葉に抵抗がある。

しかしここではドラッカー先生の教えを乞うために、しばらくこの「顧客」という呼び方でお付き合い願いたい。

では、ここでもう一度『もしドラ』を見てみよう。

マネージャーのみなみは、野球部の「顧客」を考えるが、なかなか答えが見つからない。

そんな時、マネージャーのみなみは、ドラッカーの大ファンという変わった部員の二階君からこんなヒントをもらう。以下、引用する。

「何も堅苦しく考える必要はないよ。確かに、野球部は球場に身に来るお客さんからお金をもらっているわけじゃないけど、それでもタダでやっているわけじゃないだろ? ちゃんと野球をやるためにお金をだしてくれたり、お金はださないまでも、協力してくれる人たちがいるじゃないか」(中略)

「そういう人たちを野球部の顧客と考えればいいんだ。」(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海53.54頁)

 

ここを読んで、僕なりに教会に関わる顧客を考えた。

結論からいうと、教会やお寺に関して言えば「顧客」と呼べる人は2パターンあると思う。それが以下の2パターンだ。

  1. 「信者さん・信徒さん・檀家さん」といった教会やお寺に出入りする人。
  2. 「ご近所さん・地域の人」といった信仰をしていない周囲の人

つまり、教会が関わる「顧客」は2つに分けられるということだ。

というか、僕が気づいていないだけで、2つ以上あるかもしれない。

この幅広い層の人に満足してもらうことが、教会・お寺の定義に重要なのだと僕は考える。

顧客が分かったところで、もう一回「教会とは何か」を定義してみよう

ではそんな幅広い人たちに対して、いったいどのように満足させて、「組織の定義づけ」、つまり「教会って何だろう?」と考えていけばいいのだろうか?

さて、ここでも『もしドラ』を頼りに、話を勧めよう。

マネージャーのみなみは考えに考えた挙句、野球部のするべきことは「顧客に感動をあたえること」だという答えに辿りつく。

それを聞いた部員の二階が、その定義付けは面白いと褒める。以下、引用する。

その解釈は面白いね。確かにそういう側面はある。『高校野球』と『感動』は、切っても切り離せないものだからね。高校野球の歴史そのものが、感動の歴史といっても過言ではない。

高校野球という文化は、これまで多くの感動を生み出してきた。だからこそ、ここまで広く、また深く根付いたということがあるだろうからね(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海 57頁)

 

なるほど、野球部の使命は「顧客に感動を与えること」というのは確かにおもしろい。

実際僕も夏の甲子園を見ていると、ひたむきな姿にめちゃくちゃ感動してしまう。

たしかにこの答えは、ただ単に「野球部は何をする組織か」ということを考えていては出ない答えだ。

「顧客」の満足を考えるという視点に立たないと出ない答えではないだろうか。

それでは最後に「教会の使命(事業)とは何か」を考えていきたい。

先ほど僕は、教会の顧客は2パターンある。といった。

今回はそのうちの片一方である「教会やお寺に出入りする人(信者さん・檀家さん等)」が何を求めているかを考えてみた。

そして自分なりに答えを定義してみた。

実はこの答えにたどり着くまでに、僕は信者さんにお話を聞いたり、過去の論文や本などを読んだりした。

そして、出した結論は

教会とは、信者さんに安心を与える組織。

だということだ。

もちろんこれは、教えは千差万別なので、すべての教会やお寺に合うというわけではない。

教会を運営する一人ひとりが考えていくことなのだと思う。

僕はある一人の男の信者さんとの会話を通し、最終的に上の答えにたどり着いた。

お話を聞きに行った時に「信仰していてよかったことはなんでうすか?」とお訪ねした。するとその信者さんはしばらく考えてぼそっと。

「心の支えやね。俺が入信した時は精神状態がだいぶ悪かったから、支えになったんだ」

と言われたのだ。

これは言葉をかえると「安心を求めていた」と言えるのではないかと考えたのだ。

そして、その言葉を聞いた時には、なんだか心が温かくなった。

まとめ

さて、最後に今回の話をまとめよう。

まとめ

マネジメントの第1歩は組織の定義付けから始まる。

そのためにまず顧客はだれかと考えなければならない。

なぜなら顧客が満足を与えることこそ、組織の定義には必要。

教会に当てはめてみると顧客とは以下の2つ。

  1. 信仰している人、教会に出入りする人
  2. 信仰をしていない周囲の人

今回は1番目の信仰をしている人の満足とは何かを考えた。

結論「教会とは信者さんに安心を与える組織」である。(あくまで私見)

ここまで分かると、教会運営ということの先が少し見える気がする。

ただ【前編】の最初にも言った通り、これは営利団体に対して書かれた本なので、全てが当てはまるわけではない。そのあたりは注意して参考にすることをおススメする。

以上、「『もしドラ』から教会マネジメントの第1歩を学ぼう【後編】」という話でした。

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