今の時代にはそんな甘い考えは通用しないのかな?
というか、こんな時代だからこそ惜しみなく人に与えることが重要です。今日はそんなことが分かる一冊を紹介します。
みなさん、人に喜ばれることって何かしてますか?
信仰心がある人のなかには「人のために何かしたいっ」と思う人も多いのではないでしょうか?
僕が信仰している宗教でも、ゴミ拾いや献血、ときには被災地へのボランティア活動などを常時行っています。
そして僕自身も、仕事の合間をぬってボランティア活動に企画&参加しています。
しかし、なんだか自信が無くなるときが僕にはあります。
人のために時間を使いすぎて、自分自身が燃え尽きそうになっているときがあるのです。
信仰者として失格だよなと思いながらも、そうなってしまうのだから仕方ありません。
良いことをしてるはずなのに、なぜか元気がなくなってくる。
良いことをしても、すぐにその結果が返ってくるわけではないので、なんだか「これって意味あるのかな」と思ってしまっていました。
そんなときに読んだのが今回紹介する本です。
この本を読んで、自分のしていることは間違ってないなと確信することができました。
そして今後進む方向性に、細かな修正も加えることも出来たという超オススメの一冊です。
今回は僕がグッと来たポイントを3つ紹介したあと、「まきのり的視点」を一つ紹介したいと思います。
今回紹介する本
今回紹介するのは、アダム・グラントさんが書かれた『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』です。
アダム・グラント
1981年生まれ。
プンジルベニア大学ウォートン校准教授。
組織心理学者。
「Google」「IBM」「ゴールドマンサックス」などの一流企業で、コンサルティングおよび講演活動も精力的に行う。
【本書の内容をざっくりいうと】
Give&Takeがあたりまえとされている現代に、待ったをかける一冊。
本書では人間は3つのタイプがあるとされ、
- ギバー(人に惜しみなく与える人)
- テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)
- マッチャー(損得のバランスを考える人)
このそれぞれの特徴を分析している。
本当に成功している人は、人に惜しみなく与える「ギバー」なのだということを、様々な視点から明らかにしている。またギバーは注意しないと燃え尽きてしまうため、その対策も紹介されている。
※本の要約はこのブログではしていません。
宗教家のタメになりそうな部分だけをピックアップしています。
要約を知りたい方にはこの動画がオススメです。
動画引用:フェルミ漫画大学 「【漫画】GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代【要約/アダム グラント】」
動画を見て気になった方はぜひ本書を手に取ってみて下さい。
まきのりのグッと来たポイント
ではここからは僕がグッと来たポイントを紹介していきます。
はじめに結論をいうと大きく分けて3つあります。
- ギバーが1人いれば、それが周りにも感染する
- 人を助けるときは、自分のものの見方の外にでる
- ギバーは自分の非を認めて柔軟に対応する
これから1つずつ解説していきます。
ギバーが1人いれば、それが周りにも感染する
まず紹介したのが「惜しみなく与える行動は感染する」ということです。
本書での一文を引用します。
グループに一貫したギバーが一人いると、ほかのメンバーはより与えるようになる。
与えることをごく当りまえのことにするには、たった一人のギバーがいるだけで十分なのだ。
(アダム・グラント『GIVE&TAKE』三笠書房 108頁)
ここは個人的にすごくグッときました。
信仰者として恥ずかしい話ですが、自分1人だけ、ギバーになっても何も変わらない。と、どこかで投げやりな気持ちになることがあります。
しかし、本書でいろいろなタイプのギバーが、周囲の状況を変えていったストーリーを読むたびに「自分のやっていたことなんて大したことなかったな」と思うと同時に、勇気をもらえました。
本書では大きな会社の創設者と多数のつながりをもつアダム・リフキンという人物が紹介されています。
リフキンは「小さな親切の積みかさね」を“誰にでも”することで、成功したそうです。
リフキンに助けてもらったことに恩を感じると、人はその恩を誰かに「送る」ようになる。
これはつまり、気前よく自分の時間や専門知識を分け与えるたびに、リフキンは自分のネットワークの人びとにギバーとして行動していくよう背中を押しているということなのだ。
(アダム・グラント『GIVE&TAKE』三笠書房 105.106頁)
人を助けることで、相手にも与える姿勢が感染し、受けた恩を誰かに送るようになる
ここでは具体的に、誰にでも喜んで「5分間の親切」を行うことが大切と書かれています。
うーん、これは簡単なようで難しい。
でもこうした小さな積み重ねが大事なんだなと、改めて実感することができました。
人を助けるときは、自分のものの見方の外にでる
2つ目は「人を助けるときは、自分のものの見方の外にでる」ということです。
ここもグッと来たポイントでした。
宗教家という立場がある方は、悩みごとを抱える人の相談にのることが多いのではないでしょうか。
この相談にのって、何か言葉を返すというのも「GIVE(与える)」の1つの形かと思います。
しかし、気をつけないと悩みを抱える人をさらに混乱させてしまうということも。
本書では、贈り物をするとき、「贈る側」と「受け取る側」で感じていることに違いがあると述べられています。
贈る側は独自の贈り物をするほうがいいと考えたのに対し、受けとる側は「欲しいものリスト」にある贈り物のほうを好んだのである。
(アダム・グラント『GIVE&TAKE』三笠書房 152頁)
これは、あるあるかもしれません。
僕自身、誰かにプレゼントをするとき、送る人の欲しいものを知っているにも関わらず、「いや、こっちのほうが絶対に喜ぶ」という謎の自信をもつことがあります。そんな時は大抵失敗するんですよね。
本書では続けてこう書かれています。
人を真の意味で助けるには、自分のものの見方の外に出なければならない。(中略)
こう自問する必要があるのだ。
「この場合、『受け取る側は』どう感じるだろうか」(アダム・グラント『GIVE&TAKE』三笠書房 152頁)
ギバーはただ自分の考えを押し付けるのではなく、相手の目線でGIVE(与える)することが大切。
誰かの相談に乗ったとき、「神様はこう言っている」とか言いたくなっちゃいませんか?
もちろんそういうことが聞きたくて、相談に来る人もいるかと思いますが、中にはただ聞いてほしい人もいると思います。
余談ですが、うちの祖父は人から相談を受けたとき、基本的に聞いていただけだったそうです。マジで聞くだけ。
そのことを、あとで祖父に相談した人が教えてくれました。
「あなたのおじいちゃんは、ずっと私のグチを聞いてくれた。でも結果的にそれがよかった。話してるうちに楽になって、気がついたらグチを言わなくなってた」
ということでした。
相手(受け取る側)がどう感じるだろうかを考えた末、今は何も言うべきではないなと思ったら、ただ話を聞くだけというのも1つの答えなのではないでしょうか。
GIVEするのにもいろんな形があるなと、考えさせられる内容でした。
ギバーは自分の非を認めて柔軟に対応する
3つ目は「ギバーは自分の非を認めて柔軟に対応する」です。
本書ではNBA(北米で展開する男子プロバスケットボールリーグ)のスカウトマンであるスチュ・インマンという人物を取り上げてギバーの成功事例を語っています。
このインマンさんは、ギバーです。
ただ、ギバーだからめちゃくちゃスカウトした選手が成功したかといったら、そういう訳でもなかったそうです。
むしろ2回も「NBA史上最悪のドラフト指名」に関わったということで一番記憶されている人物なのだとか。
そんなインマンさんの何がすごいのかというと、スカウトした選手が良い成果を挙げなかったときに、「ごめん、スカウトする選手おれ間違っちゃったわ。」と言えることだと本書では書かれています。
テイカーは(中略)うまくいっていない投資に責任を感じ、自分のプライドやメンツを守るためにさらなる投資をしようとするのだ。(中略)
これに反し、ギバーは同僚と会社を守ることを第一に考えるので、進んで失敗を認め、柔軟に意思決定しようとする。
(アダム・グラント『GIVE&TAKE』三笠書房 190.191頁)
テイカーは間違った選択をしたときに、自分の間違いを認めたくないので自分の選択に固執する。自分中心ともいえる。
ギバーは他人を中心に考えているので、全体にとって不利益だと思えば「間違えました」と言って意見を変える。
インマンさんは、ドラフトで指名した選手が活躍しなかったときには、新しいキャリアを見つけるように温かく送り出していたそうです。
ここではインマンさんの失敗事例しか書いていませんが、実際にはその失敗を除けばかなり優秀なスカウトマンなのです。
埋もれている選手を見つけ出し、チームを優勝に導いています。(『GIVE&TAKE』195頁参照)
ではぼくがこの箇所を読んで、一番グッと来た箇所を紹介して、この章を終わります。
ギバーには、自分の決断が同僚や会社に与える影響のほうが重要なので、長い目で見てよりよい選択をするためなら、さしあたって自分のプライドや評判が打撃を受けてもかまわないと考えるのだ。
(アダム・グラント『GIVE&TAKE』三笠書房 194頁)
ココ、いいですよね~。
最近大きな決断をしないといけないときが度々訪れます。
しかも自分でも「あーこれ過去に間違った選択しちゃったから今しんどくなってるわ」と思うこともあります。
そんな時、自分の非を認めたくないので、なんとか状況を好転させようとして、どうにもならない状況にお金と時間をかけるということをしてしまっていました。
「俺、完全にテイカーの発想だわ。というかテイカーだわ」と激烈反省しました。
周囲の影響を考えて、「すみません、以前の決断を間違えてしまいました。方向転換しようと思います。」とこれから言うつもりです。
大切なことに気がつかせてもらいました。
まきのりの視点 一流のメガネ販売員の話
最後にまきのりの視点を紹介します。
本書を読んで、ここは信仰者にとっても応用できるよねって所を発見しました。
ギバーである、一流のメガネ販売員キルデア・エスコートさんの話です。
筆者がキルデアさんの売り込みが余りに素晴らしいので、その販売スキルについて聞こうとしたときの話が、信仰者にとっても参考になる話でした。
以下、引用します。
「あなたの販売スキルについておうかがいしたいのですが」
しかしキルデアは、「これを販売だとは思っていないのです」といった。
「私は自分を眼鏡士だと思っています。私どもは第一に医療機器関連業で、第二に小売業で、販売はたぶんその次でしょうか。
私たちの仕事はお客様に対応し、お話をおうかがいし、ニーズを知ることです。売ることを一番に考えたことはありません。
お客様を助けることが仕事なのです。
(中略)私が心から気にかけているのは、お客さまに気持ちよく眼鏡をかけていただくことですね。」
(アダム・グラント『GIVE&TAKE』三笠書房 224頁)
一番大切なのはお客さんのニーズを聞き、気持ちよくメガネをかけてもらうこと。
メガネを売ることではない。
ギバーらしいというか、「あ~こういう人にメガネ売ってもらいたい」と思う内容です。
そしてこれって信仰者にも同じようなことがいえるんじゃないかなと思いました。
つまり、信仰者であれば困っている人に対して、信仰を伝えるということを一番に考えるのはなんか違うってことです。
それよりもまず相手の話を聞いて、相手がどう助けてほしいのかを知ることが重要なんだろうなと思ったんです。
例えば、めちゃくちゃお腹が空いて倒れそうな人に、「〇〇教ではこういうふうに教えられていてね」って言っても、もう全然ニーズに合ってないと思います。
心の面も後には知りたいかもしれませんが、お腹が空いた人にはとりあえずオニギリを持ってくるのが先じゃないかなと。
ニーズに合わせて人に寄り添うことが肝心だし、そのほうが上手くいくと思います。ギバーはそういう長い目をもって物事をみているんだなと感じました。
ギバーはそのときそのときで見ると、与えてばかりで損をしているように見えますが、長い目でみるとそうとは言い切れなくなってきます。
「ギバーであることは100メートル走では役に立たないが、マラソンでは大いに役立つ」
(アダム・グラント『GIVE&TAKE』三笠書房 224頁)
人生はマラソンです。一瞬の損得勘定にながされることなく他者にGIVEしていきことが、結局自分自身のためになります。
僕もそんなギバーを目指していきたいです。
まとめ
今回はアダム・グラントさんの『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』を紹介しました。
〇まきのりのグッときたポイント
- ギバーが1人いれば、それが周りにも感染する
→ギバーが人を助けることで、相手にも与える姿勢が感染し、受けた恩を誰かに送るようになる。 - 人を助けるときは、自分のものの見方の外にでる
→ギバーはただ自分の考えを押し付けるのではなく、相手の目線でGIVE(与える)することが大切。 - ギバーは自分の非を認めて柔軟に対応する
→ギバーは他人を中心に考えているので、全体にとって不利益だと思えば「間違えました」と言って意見を変える。
〇まきのりの視点 一流のメガネ販売員の話
一番大切なのはお客さんのニーズを聞き、気持ちよくメガネをかけてもらうこと。
メガネを売ることではない。
これは信仰者が人を助けるときにも当てはめて考えることができるのではないか。
今回参考にした本です。
良ければ手に取ってみてください。
以上、「【宗教家にオススメ】アダム・グラント『GIVE&TAKE』から学ぶ、惜しみなく与えることの大切さ」という話でした。
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